むしろ健闘 スズケン 12月11日 (2014.12.10)
顧客信頼度がきっかけ
新中期成長戦略の布石着々
スズケン(9987)は1、2Q前年割れ。3、4Q流動的で通期当初通り。むしろ健闘している。10月28日の修正発表によるもので、計画より2.2%減収、営業利益2.5倍の折り返し。市場が薬価改定、消費増税の反動、ジェネリック使用促進など納入ベース-3.4%(同社-2.3%)、薬価ベース-1.3%(同-0.1%)に縮小する中でシェア上昇。総価から単品単価取引移行を巡るもので、業界2位にあと一歩の模様。行政の指導により合理的な価格交渉期間として半年が設定され、取引先と膝を突き合わせ徹底的に話し合った結果という。妥結状況4~9月82.0%(前年同期42.7%)。同社にとって80年以上続いた総価取引が事実上なくなった。営業利益が見込みを上回ったのは販管費の改善によるもので、中期ビジョン第一・顧客信頼度ナンバーワンのきっかけができた。グループ事業の基盤の拡大につながる。第二に、医療流通プラットホームを強化。日本とアジアを結ぶオンリーワンのビジネスモデルを確立。第三に、人材育成とグループガバナンス推進により、一つのグループ構築に向けた経営基盤改革が新中期成長戦略(2017年3月期)の骨子。このうち、医療流通プラットホームの鍵を握るのが物流機能。グループ各事業のほか、メーカーや卸、院内、治験薬・希少疾病の物流までこなすもの。メディカルに特化した多様な対応が見込まれ業界唯一。機能、品質、コストでもオンリーワンの強みをアジアでも活かしたいという。例えば、中国の医薬品。年平均20%成長、近々日本(8兆8000億円)を抜き世界第2位の規模になるといわれ、同社は08年に中国第2位の卸・子会社と合弁会社(50%出資)を立ち上げ上海と青島で事業を展開。今年4月、中国に市場を求める日本の医薬品メーカーに対し、新たな事業として営業・マーケティング機能を持つ現地企業と提携。深圳に合弁会社を設立し、メーカー支援型の販売代行ビジネスを立ち上げた。このほか、糖尿病に特化している三和化学(連結子会社)がユニーク。日本に患者数が多いためで、投与期間制限が解除された自社創薬DPP-4阻害剤「スイニー錠」と「セイブル錠」、昨年9月発売した「ウリアデック錠」(痛風・高尿酸血症治療剤)が主力3品目。複数のパイプラインも控えている。いずれにしても、「南海トラフ巨大地震」に備え、物流サービスのノウハウを結集した全国10番目の「名南物流センター」(仮称=2016年完成予定)が稼働すると同社の実力がわかる。
2015年3月期(連結)は、売上高2兆70億円(0.9%増)、営業利益134億7000万円(24.5%減)、経常利益300億7000万円(14.9%減)、純益176億円(17.9%減)の見通し。配当54円(期末27円)の予定。設備投資189億円(前期139億円)の計画。踊り場に違いないが、着々布石を打っている。来年後半から調整運になるが、仕込みが先行しており、丁寧に進めると問題ない。2Q末の連結純資産3375億円に対し時価総額2874億円。現在、1株当たり3592円を下回っているため水準訂正の余地が大きい。