昭和の風林史 (昭和四七年十二月一日掲載分) (2014.12.04)
売り上がりで 辛抱のしどころ
大衆パワーが商品取り引き相場をリードしている。
しかし小豆は売って果報を待つ場面。
きょうから六カ月さきの来年五月限がたつ。
五月といえば既に天候相場の限月。
各店の黒板にも産地・北海道の
朝、昼の天気と温度がのるころだ。
この新しい限月は、
おそらく順ザヤ、高く始まろうという見通しが強いため、
それにあわすように昨日も反発、続伸して
各市場では先限二~三本がまた一万円台まで戻している。
とにかくインフレヘッジによる大衆筋の買い気は強い。
このことは株価が夜が明ければ高くなるのを
みても判るところだが、
商品相場でもこの二~三日ほとんどのものが高い。
たとえば二十八日は綿糸、
二十九日は人絹糸を除いてその他が大体に値上がりしている。
この勢いがまだ新しいだけになかなか侮れないものがある。
穀物相場でも商社、玄人筋の売りと
大衆の買い傾向が一層顕著となっているが、
目先的には大衆パワーが優勢のようにも思える。
しかし清算取り引きが主体である商品取り引きでは
株式とちがって買ったものは、
ほぼ一〇〇%まで売らねばならない。
いまの上伸の原動力となっている大衆買いが、
近い将来売りとなることは必然である。
上がれば買いたくなるし、
下がれば売りたくなるのが人情。
だから相場で儲からないと悟りながらも
相場が戻りだすと追随して買いたくなる。
そしてまたそれが大衆買いを誘発する。
三十万俵タナ上げだとか、発券停止だとか、
出回り遅れだとか言っていても
現実に大量の現物があることは厳粛な事実。
それを無視して買い上げたあとのトガメは当然深くなる。
意表をついた反発は、
また思いがけない急落にもつながるだろう。
五日の在庫発表で、
もしワッと買われたところが年内のピークと考えられる。
戻り売り方針である。
この点、事情が根本的に違うのが手亡だ。
九月一日現在の収穫予想五十三万俵から
長雨被害で三十万俵台まで減収になっているともいわれる。
ピービーンズという代替品はあるにしても、
六限月制となった現在、定期用の種玉にも事欠く恐れがある。
仕手の力で九千円までかつぎあげることも不可能ではない。
手亡は押し目買いを続けたい。
●編集部注
我慢して取れた相場ほど、気持ちが良いのだ。
【昭和四七年十一月三十日小豆四月限大阪一万〇一四〇円・四五〇円高/一万〇一九〇円・四一〇円高】