証券ビュー

森羅万象

昭和の風林史 (昭和四七年十月六日掲載分) (2014.10.08)

投資の対象に     長期方針で買う

いずれ必ず赤いダイヤやホワイト・パールが

投機ではなく投資の対象になる。安値を買うこと

「宇治川の淀川となり蘆の花 佐藤」

面白い相場は毛糸、生糸、綿糸。それにゴム、乾繭だ。とにかく動きが激しくないと投機家は関心を示さない。

穀物市場のほうは小豆が相場らしくなっているが、

伸び悩むと、売っておけばよいという気分が支配してくる。

ここからの値段は、ついていけない。

だから押し目買い。それとも売り上がり方針。

手亡が、ストンと垂れた。

垂れてみると、

いかにも七千円どころは上値に抵抗が強かった。

しかし、六千五、六百円の値段は売れないところ。

押したり突いたり、突いたり押したり。

いずれにしても大きな相場ではない。

ただ、他商品に見られるように、

安いところは拾っておけば、

土地だ、株だ、毛糸だ生糸だ

―の式で大金持ちが現物を思惑対象にする。
取引所取り引きの上場商品は、換金性がある。

流通性がある。そして投機の対象である。

小豆でも47年産の品質の良いものを手持ちして

長期投資の方向でいけば金利、倉敷料など、問題でない。

小豆の先限、先限と八千二、三百円以下を

現受け状態で買っていく。

株で儲けたお金。他商品で大儲けした資金。

そういうものが、安い小豆なり手亡の相場に

介在してくることは充分予測出来る。

今年、小豆の相場が安ければ安いほど、

来年の作付け面積は大幅減反である。

しかも天候がからんでくるだけに

春先からの小豆相場は、なんとも言えない。

手亡にしても六千五、六百円どころは、

投機資金がダブついているのだから

年末ギリギリを狙うとか、

正月明けの一月限を買い占めるとか、

安くなれば大きな玉が恐らく長期方針で潜行するだろう。

世の中、価値観が変革しているのである。

一万円札を一年間、大切に持っていたら

一割は目減りして九千円になっている時代だ。
年一割ずつ、お札は値打ちを下げている。

油絵でも日本画でも宝石でも、

なんでもよいから品物にしておく。

ゴルフの会員権でもよいという考えだ。

そうなると、換金性の高い

赤いダイヤやホワイト・パールにも目がむけられてくる。

●編集部注
買えない相場は強いという。

そして、売れない相場は弱い。
四十余年前の逆パターンを、

我々は現在、白金相場で経験している。
商品〝投機〟が〝投資〟に変わる夢が、

また消えようとしている。

【昭和四七年十月五日小豆三月限大阪八五六〇円・二〇円高/東京八五六〇円・五〇円安】