証券ビュー

企業レポート

8月に底入れ  藤久  9月9日 (2014.09.08)

前期陰極まり今期陽転 

100年のインフラに取り組む

企業HPご案内   前回の企業レポート

藤久(9966)は底入れ。増収増益の見通し。8月から流れが変わった。今期店舗純増約20(前期18)、既存店売上高1%増(同2.6%減)を目指すもので、7月6.0%減(同2.0%減)だった既存店が8月から持ち直している。徐々に改善する見込み。例年1Q 営業赤字だけに11月の発表が楽しみだ。前回述べたように、地域のイベントに呼応する講習会やクライ・ムキ式ソーイングスクールを拡充する一方、販売委託制「オーナーシステム」の拡大が主因。前期47都道府県に店舗(期末478)を持ち、東証一部指定替えも実現して軸足が決まった。4月の消費増税を通じて駆け込みと反動が見られたほか、予想以上に既存店の客数が減少し単価の落ち込みも響いた。このため、前期4Q下方修正したが、陰が極まり陽転した印象。ソーイングのスクールの場合、前期161店舗(35増)で3分の1になり今期60増の計画。オーナーシステムの場合、183店舗をピークに130まで後退したが、前期154に戻し今期50切り換えの予定。ともに高齢化・代替わりなど時代の構造変化に対応するものだ。同社は2012年(創業60年)が次世代の節目。これまで成功体験(03年6月期の最高純益16億円が一例)を白紙に戻し事業再構築急ピッチ。100年のインフラに取り組み始めた。前回紹介した「大人のためのディズニースタイル」、「ウイスター・フェアリーヌ」、「あめるモン」がヒット。最近でも熟年女性向けレジンクラフト、全米で人気のファンルーム、北欧テイストの生地。さらに、GMOペパボと9月中旬「ハンドメイド大賞」を共同開催するなど提案活発。しばしば、ニーズとシーズのマッチングが見られる。都道府県で長野、山梨、静岡県の店舗がトップグループ。東日本大震災後、福島泉店が根強い支持を受け健闘している。

2015年6月期(非連結)は、売上高231億5900万円(5%増)、営業利益7億7900万円(39%増)、経常利益7億7500万円(37%増)、純益2億6800万円(96%増)の見通し。配当32円(中間16円)を据え置く予定。震災後、入学時になると東北の被災地区に欠かさずレッスンバッグ(手提げ)を送っている。これまで延べ1万個にのぼるという。率直なところ、打つべき手を打った。ソーイングスクールはドラッグにすべて薬剤師が入るようなもので締まる。教えることは学ぶことで地域のこともよくわかる。オーナーシステムは究極のガバナンス。個の集合体として時代のうねりを吸収できる。1Q以降、増収増益のめどがつけば1株当たり純資産(2917円)が目安。大幅な水準訂正余地。2022年(70周年)にかけて陽が極まることも考えられる。今期がその第一歩だ。

 

>>購読ご案内