証券ビュー

森羅万象

昭和の風林史(昭和四七年八月二十六日掲載分) (2014.09.04)

反騰力充分!!   手亡も上昇期待

下げない相場なら買ってみようかとなる。

小豆も手亡も、まったく売り余地ない値にとどいたのだ。

「とどまればあたりにふゆる蜻蛉かな 汀女」

今となっては、ここから売っていくという材料もない。

小豆百七十五万俵という

収穫予想の上に立っての

八千五百円相場になろうとしている。

あと、もしなお下げるのであれば、

それは収穫も終わる十月あたりではなかろうか。
十月は、本年ただ一回の二日新ポ月である。

その時俵の重味で下げるとすれば

今の水準から、なお五、七百円安くなるのか。

あるいは、九月需要月に降霜などを材料にして

買い上げたあと十月安となるのか。

今の時点で今の値段は、

いずれにせよ売り余地のない値動きである。

それと、21日(月曜)の朝寄りで付けた九千円どころ。

相場はこの値段を取りに行って

九千四、五百円が必ずどこかであるはずだ。

それが、どのような材料で付くかは今のところ判らない。

しかし、九千円を取りに行かなければならない相場なら、

それ相当の材料が必ず出現する。それが相場である。

たとえば落葉病である。あるいは降霜だ。

そして新穀北海道小豆に対する実需面からの買い気。

たとえ、ここまで煮え詰まってきた相場だけに、

どのような材料でも敏感に反応を示すであろう事は、

予想するに難しくない。

すなわち日柄による玉整理。値幅による玉整理。

そして上値に対する一致した絶望観という片寄った人気。

相場は反発出来る条件が揃っている。

手亡の相場にしてもそれは言えるだろう。

新穀の六千八百円は、買って損のない値段である。

しかも先行き穀物市場の人気が、

仮りにも小豆が今までのようなわけにいかないとすれば、

おのずから手亡の相場に人気を集めなければなるまい。

よく言われる事だが下げ相場には人気は寄らない。

市場が沈滞してしまって、それが続くようなら、

必ず市場振興策が業界で言われる。

 

やはり買いをすすめて、相場をゆさぶるしかないのだ。

手亡は作柄そのものが小豆ほどよくない。

そして大幅な減反。しかも六限月制になっている。

手亡の七千円どころは、

これから先も、わかりやすい買い場になるのである。

●編集部注

後から気付く事だが、

相場の流れが変わる手前あたりから、

心理的に不安定になる。

泰然自若と構えていれば良いものの、

つい余計な一手を打ってしまう。

これより一カ月、相場はなべ底を作る。

人の心はどう動くだろう。

【昭和四七年八月二五日小豆一月限大阪八八二〇円・一五〇円高/東京八九三〇円・二〇〇円高】