昭和の風林史 (昭和四七年八月八日掲載分) (2014.08.11)
無気力小豆に やりにくい手亡
小豆は、もう、もう言いながら、
まだ、まだという地合い。
手亡は飛び付き玉の整理場面。
「罌粟咲けりあかつきあさき夢の中 宇美彦」
七月末現在の消費地四市場の小豆の在庫は
国産、輸入品ともに減少したが、
順気に恵まれ、作況は〝豊作〟が言われ、
また買い長の取り組みが
完全に整理を済ませていないことから、
値段としては止まってよいところにありながら、
依然軟弱な市況である。
週明けは目立つ買い玉の西田の店が投げているようである。
この手は、ジグザグ縫うように取ってきたが、
結局、つかまった格好。
いかなる相場巧者も大勢に逆らっては勝てない。
月曜の相場では、地合いは依然として変わっていない。
売り方に〝制空権〟を握られたままである。
すでに産地は開花最盛期。
反収一六〇kgが伝わる。
①天候が崩れるか②病虫害多発などの材料が表面化するか
③総投げによる、この水準からの一段安で玉整理を強要するか
④需要面を刺激する動きが出るか
⑤あるいは売り方の積極的な利食いという動き―
などがない限り相場の基調は硬化しそうもない。
そういうことであれば、
いつまでも不利な建て玉(買い玉)を持ち続けずに、
有利な建て玉に切り替えればよさそうなものだが、
あと下げてもという気持ちや、
もうこのあたりという考えなどがあって、
苦しいながら、じっと辛抱している人が多い。
新穀の九千円割れはもう見えているようだ。
十一月限が一万二千二百円で生まれて
二千円台、千円台、一万円台と大台を三ツ割ってきた。
すでにその下げ三千円替えにもなる。
そういうところから、止まるところではないか、
と淡い期待を持つのであるが
結局は、それがかえってよくない結果になっている。
一方、手亡の相場はどうだろう。
誰でも在庫量が読める。
減反。輸入品の格差が虐待されている。
小豆の不人気を手亡でカバーしようとする動き。
待望の六限月制―という要因は承知であるが、
七千円台の新穀三限月を
いささか飛びつき買いしたきらいがあって
現在、その整理という段階である。
もちろん、売り込めば、ひねられるという事を知っているから、
積極的にも売れない。
いうなら、やりにくいところである。
●編集部注
文中で登場する「西田の店」とは、
西田三郎商店の事である。
大阪の北浜にあった西田三郎商店の社屋は
非常にモダンな造りであったが今もあるのだろうか。
東穀取もマンションに建替えられて今はない。
【昭和四七年八月七日小豆一月限大阪九一九〇円・一七〇円安/東京九二六〇円・一二〇円安】