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企業レポート

オーナー経営から脱皮   矢作建設  7月29日 (2014.07.28)

人材育成が決め手  

堰を切ったビジネスチャンス

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矢作建設工業(1870)は1、2Q計画線。前期連結20年振り最高益を計上し高水準。堰を切ったようにビジネスチャンスが到来した。第3、第4の矢といわれる新成長戦略に呼応している。技術革新やインフラ更新を巡る超長期、建設投資を主因とする長期の景気循環が前期を初動にみるみる陽転。中・短期でも設備・在庫投資の回復が見込まれ、第2、第3波が予想されるためだ。同社の場合、2年前が転機。前社長急逝(享年59)によるもので、オーナー経営60年の脱皮とピタコラム事業依存体質(2011年3月期235億円)の修正を迫られた。ところが、新体制と政策対応で直近2期見事乗り切った。今期初ピタコラムがウッドピタを吸収し一本化。本格的な普及に備える一方、「デザインC」による総合建設業本来の姿を取り戻すという。前回述べた2020年東京五輪招致、27年リニア開業(14年着工)が目玉。筆頭株主の名鉄(9048)が名古屋駅前スーパーターミナル構想に独自の再開発計画を打ち出すのも時間の問題。絶好のポジションにつけている。前期連結最高益、追って売上高(07年3月期985億円が最高)更新も見込まれ、スキルアップに意欲。設計施工をはじめ提案力、原価改善、生産性のほか安全、品質向上に傾注。今秋、名鉄常滑線大江駅構内に5億5000万円投入し「鉄道安全研修センター」を立ち上げ、駅舎の新築や枕木交換、軌道保守など実地訓練を通じて若手に一連の鉄道関連事業(約1割)を引き継ぐという。鉄建建設(1815)が07年千葉県成田市に開設した建設技術総合センターが代表的な例。一にも二にも人材育成が決め手。今年3月、静岡県から磐田市下野部工業団地(約15万坪)の大規模開発着手に際し、「ふじの国内陸フロンティアプロジェクト知事褒賞」を受けたのも新たな材料。同県が防・減災と地域振興を目指す市町村の取り組みを後押しするもので、1990年に完成した新平山工業団地に次ぐ案件。1972年に土地を取得した模様で、この種の物件が幾つかあるという。前期完工した自社開発の商業施設や大型物流施設など脱皮を物語るものだ。

2015年3月期(連結)は、売上高770億円(8%減)、営業利益58億円(12%減)、経常利益56億円(同)、純益30億円(8%減)の見通し。配当14円(中間7円)を据え置く予定。8月5日1Q発表の見込み。計画線とはいえ繰越工事462億円(0.3%増)でスタート。2Q需要期だけに上振れも考えられる。会社が今年後半から3年上昇運。藤本社長(61)も来年から運気好調で期待をもてる。兼業事業の分譲マンションが前期末完成在庫ゼロを達成し先高感が伝わってくる。25日、日本建設業連合会が発表した6月の国内受注1兆1734億円(12.6%増)。3ヵ月連続プラスという。

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