昭和の風林史(昭和四七年七月十日掲載分) (2014.07.15)
大丈夫買いだ この相場暴騰す
叩いても、叩いても下げない相場は、
今度は逆に暴騰するものだ。
大丈夫。断じて強気方針。
「一刀に彫らる一位の面涼し 非文」
東京市場の小豆百円電光足では
三点底型のぼれぼれする好型となった(先限引き継ぎ)。
叩いても叩ききれない頑強な抵抗帯である。
阿波座連合は、依然としてこの相場を叩いてくる。
売り崩して、勝を決めようと、あせりの色さえ見える。
産地の天候がよいのに崩れない―。
それは相場が下値にとどいているからである―。
すべての悪材料を織り込んだ―。
従って、ちょっとしたキッカケひとつで急騰しかねない
―ことをクロウトはクロウトなりに感じているから、
なんとしてでもここは一気に叩き崩して、
売り玉を逃げたい。
勝を制したい。そういうところだ。
だが、一万円以下は予想以上の抵抗がある。
相場自然の抵抗だ。
なんべんも書くように目下のところ、
まったく買い材料というものがない市場である。
買い材料が無いから買うという論理は、
常識の世界では通用しないが、
相場の世界では、立派な理論である。
小豆相場は、時間はかかろうが、
大きく出直ることであろう。
それは相場記者の直感である。
古い相場金言に「閑散に売りなし」というのがある。
安くなると閑になるのは下値に用がない証拠である。
「知ったらしまい」という言葉もある。
悪材料のすべてを知り尽くした相場である。
「豊作に売りなし」。豊作を囃した。
しかし作況は必ずしも豊作型ではないようだ。
肥後小豆にも豪雨被害が出ているようだし、
東北六県の内地小豆も豪雨にたたられる可能性がある。
筆者は、買い方から離れていた〝運〟が
買い方の手に戻ってきそうな気がしてならない。
時あたかも天災期。なにがあるか判らない。
北海道に集中豪雨、あるいは病虫害、台風等―。
それらのことは単なる気やすめの強弱であるが
相場が下がらないということ自体を、
われわれは注目しなければならない。
相場は、なんでも知っている。「相場は相場に聞け」という。
下げ余地なし。急騰含みである。
相場は大底圏内である。売って取れない。
線型は、ほれぼれする買い場を示している。
よろしい。筆者はさらに意を強くして強気する。
絶対的な信念である。
大丈夫断じて強気すれば鬼神もこれを避く。
●編集部注
「運」は持ち回りだが、
育てる方法もあるという。
手法は、人それぞれだ。
執筆で運を育てる手法は存在するのだろうか。
【昭和四七年七月八日小豆十二月限大阪一万〇〇八〇円・三〇円安/東京一万〇一〇〇円・四〇円安】