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森羅万象

昭和の風林史 (昭和四七年六月二十一日掲載分) (2014.06.25)

 

もう弱気やめ   安値仕込み大勢

相場は下がるだろう。だがもう弱気はしない。

急騰したらどうする。そのときは売り抜けるだけだ。

「疲れ鵜も篝も舟もみなながれ 弥生」

このあたりからの安値を買い下がってみようか、

というのは、値ごろ観によるものではない。

①投げ場面(急落)のあと、自律反騰があろう。

②満目総弱気。悪材料の織り込みも、ここからは早くなろう。

③売り厭き気分。

④日柄の面では、かなりいいところに来ている。

⑤値段としても、ここから下はそれほど深くない。

⑥資金がダブついている。

⑦作柄がよすぎると、かえってドカンとくる。

油断大敵。病虫害や旱ばつ。集中豪雨の不安。

⑧かなり高値買い玉が整理された。

⑨大台三ツ変わり。いわゆるケイ線観。

大底待ちである。

大底打ちががだんだん近づいてきたように思うのだ。

それが今月になるか来月になるかは判らない。

現在のところ強気する材料は、なに一ツない。

だが相場の大底とは、

総悲観、陰の極で静かに打つものである。

それなら底入れ確認してから買っても遅くはないだろう。

然り、その通りだ。何もあわてることはないのだ。

だから強弱なしで見送るのもよい。

注意すべきは、ここから売り込まないことである。

豊作に売りなしという言葉。

これを言うのはまだ早いかもしれないが、

一ツの真理である。忘れないようにしたい。

大阪西田の買い玉。これが投げたら底である。

大石の(坂崎系)売り玉、

これが利食いにはいれば、キッカケになる。

売っても、売っても下げないという相場がくるだろう。

なにもかもとどいた待ちである。

それから日数がかかるかもしれない。

人はそれを底練り という。

海綿が水を吸ってしまうと、

もう一滴も吸うことが出来ないのと同じで、

相場も、悪材料を本当に織り込んでしまうと、

もう反応を示さなくなるものだ。

相場金言に、知ったらしまい―というのがある。

下がるだろう。だがもう弱気はしない。

よしんば、これから長い道中になろうと、

安値を買い下がっていく方針。

それは相場が相場であるからだ。

強烈に反騰したらどうする?。その時は売れ。

安値仕込みの玉を利食いすればよい。

下値を幾らと見るかは、まだ判らないがもう浅い。

●編集部註
相場師豹変す。

筆が踊ると、

相場観も冴え渡る好例といえる。

筆者が綴るより読者が当時の日足を見ると良い。

【昭和四七年六月二十日小豆十一月限大阪九九九〇円・二〇円安/東京九九六〇円・二〇円安】