クライマックス迫る 円と金先物通じて日本のペース (2011.08.24)
下げの第2波途上。持ち高調整の買い戻し。5日ぶり小康を取り戻した。円は政府・日銀の介入を警戒し小反落したが、NY金先物が22日1917ドルをつけ新高値。26日FRB議長講演を見越し、さらに追加緩和を織り込む動き。クライマックスが迫っている。米政府は8月2日期限の債務上限引き上げにこぎつけたが、国債の外国依存度が約5割を占め増発余地が小さい。一方、FRBも昨年11月の追加緩和で6000億ドル米国債を買い取りバランスシートが水膨れ。3度目は買い取り余地が小さくなっているためだ。米国経済の2番底はおろか、世界レベルの景気後退をはらむもので、国単位の破綻も念頭に置くところ。24、25日カウントダウン。円とNY金先物が指標になりそうだ。その点、7月15日「過去40年金より強い円」と述べた。つまり、23日の日経「経済教室」で慶大の櫻川教授(52)が語るドル体制終焉の引き金になりかねない場面。26日と29日が注目される。ここで間違えると元も子もない。現在の並み外れた円高、金先物の急騰が物語るもので、22日東証1部平均PBRO・92倍。1倍割れ68.7%を占める日本株が反転の最右翼。内需関連で代表的な■■■■■(****)、■■■■(****)の大台割れを目安に紹介したばかり。輸出関連では■■■■■(****)9500円、■■■(****)1800円、■■■(****)2500円も考えられる。にわかに円安、インフレといかないまでも、6日のガチンコから日本国債、日本株にお鉢が回ってくる。同教授が米国の後継に差し出した日本。財政再建を前提に次の3つが条件という。世界経済安定のためには、ドル不足を補う新たな供給元を見つけるしかない。それには対外資産が潤沢で通貨価値が安定し、かつ大量の国債を発行し、さらに外国依存度が低く発行余力が高い。これらを兼ね備えているのは日本だけである。記録的な円高は、市場が米国債から日本国債に一部肩代わりを求める期待の現れ。否応なく外国依存度が高まり、日本の財政は外資から強い規律を受ける旨も学者らしい。概ね同感である。要するに、8月のパニックは買い。ドルの受け皿は金先物と円を通じて日本国債と日本株に流れ込んでくる。日本が事実上最後の貸し手になるわけだ。
日経平均は104円高。値頃感から買い物が入り自律反発。8733円で引けた。前日終了間際に売られた主力が戻している。出来高20億9000万株、売買代金1兆4100億円。他力本願に違いないが、デフレの終わりと最後の円高。しきりと米欧の日本化が伝えられ、金先物と円を通して日本のペースになってきた。紆余曲折を踏まえ、来年高いとみられる。5日述べたように過去10年下げに下げたサービス、情報・通信、その他金融、銀行、証券・商品先物など内需16業種が中心。復興特需、消費税引き上げを見越したもので■■■■■(****)、■■■(****)も紹介した。増田悦佐の新刊から引用すると、欧米の日本研究者たちは、戦後日本の高度成長が一握りの寡占企業による市場支配で達成されたと信じていた。実現したのは有能な官僚たちと思い込んでいた。実際は正反対で、自分たちがエリートのつもりでいる連中の知的水準が低過ぎた。日本の強さは手強い大衆。広大で底の深い内需。混迷する世界経済の中で、日本の前途だけ洋々という。26~29日に備えるところだ。(了凡)