昭和の風林史(昭和四七年三月四日掲載分) (2014.03.31)
線型は沸騰型 当面五千五百円
怖い怖いで買いきれない人が多いから
相場はズンズン伸びる。
当面一万五千四百円が目標。
「麗かやなにか忘れしともちがふ 由樹雄」
陽気がよくなると人の出が多くなる。
鐘一ツ売れぬ日はなし江戸の春―などといって、
人出とともにあらゆる品物が売れていく。
小豆も末端が動き出した。
買い控えていた実需が需要期入りと、
定期高に刺激されて現物の売れ足が早い。
しかも輸入ものの入船が遅れたりして、
この面からもひと相場期待出来そう。
一方、買い方は、ここにきて意を強くしている。
自信というものをさらに強めた。
それは信念である。
五千五百円は、手のヒラの上にある。
現物の消費を眺めながら、一気に値を出さず、
売り込みを待ちながらそおっと相場を育てる。
一万五千五百円(先限)から上は、
時の勢いである。
畳を一枚一枚はがすように
踏みを取って行けば人気の雷同もあって
一万六千五百円あたりは、
付けておかしい値段ではない。
線は七月限で四千四百円→三千四百円の千丁下げを
V字で返した。
そしてこの倍返し地点五千四百円。こう見る。
その値は付く。
なぜか?。
なぜでもだ。
見えているのに買えない人が多い。
それは人気が強くなりきっていない証拠である。
そうだろうと思う。
輸入小豆がウズを巻いて入荷する―という頭がある。
それと春の交易会。
中国は幾らでも売ってこよう。だから買うのは怖い。
怖い怖いで手を出さないから
相場はズンズン上伸する。
八万俵から十万俵をタナ上げしてしまい、
入船は遅れるし、需要最盛期にはいるし、
高値因果玉は投げ終わり、
安値には売り込んだ大きなシコリがある。
いずれにしても相場は生まれ変わった。
一本一本の線は伸び伸びしているし、
商いが伴っている。これは、なんといっても強い。
おそらく売りの親玉三晶は再びキリキリ舞いである。
小豆の一万三千円相場は大底圏という絶対的な保証が、
二度の叩き込みで実証されたのだ。
今年が大豊作でない限り
四千円割れを売っても駄目だということ。
今年が豊作か不作かは五分と五分、
それに九月下旬までは照った曇ったの気象図眺めて、
すべての関心が北海道に集中するのである。
●編集部注
「天井三日底百日」と言う相場格言がある。
逆に「天井百日底三日」という相場もあるのだが
これは稀有な例だ。
買い方の夢が、売り方のガソリンとなる、
その好例がこれから始まる。
【昭和四七年三月三日小豆八月限大阪一万四五六〇円・二三〇円高/東京一万四五七〇円・二八〇円高】