昭和の風林史(昭和四七年一月七日掲載分) (2014.01.27)
恐慌相場へ!! 音たてて崩れん
これからが恐慌相場である。
身の毛もよだつ奈落の底へ音をたてて崩れよう。
大暴落だ。
「若菜摘む美しき日の野辺にあり 孔甫」
とうとう一万四千円の大台を割ってしまった。
割ったから、どう―という感激もない。
恐らく一万三千円そこそこまで垂れ込む相場で、
四千円割れからのストップ安だってあり得るし、
この原稿を出稿したあとにストップ安がはいるかもしれない。
今月末からの北京商談で五千㌧ぐらいは出来そうだという見方。
春の交易会で一万㌧か。
収穫期にはいる台湾小豆が五千㌧。
韓国は、もうないというけれど
掻き集めれば二千㌧ぐらいのものは出せよう。
ざっと二万二千㌧。三十七万俵。
このほかコロンビアが作付け二万ヘクタール。
反収二俵という情報もあって
四十万俵の収穫は見込めるという。
買い方にとっては震撼とする話だ。
既成約の輸入小麦は香港経由で二万㌧。
韓国、台湾で五千㌧。
合計約四十万俵であるし、
これまでに輸入されたものが四十万俵。
北海道小豆が六十六万五千俵。
コロンビア小豆を考えなくとも
百八十二万五千俵の予想供給数字になる。
去年の供給量が
百六十二万俵(北海道百十三万俵、輸入四十九万俵)だった。
値は荷を呼ぶ。輸入ものが、
まるで泥靴のままドカドカと新入してきてはたまったものでない。
買い方の投げ。売り方の利食いという手口だ。
誰がどう見ても強気出来る環境ではないし、
そういう相場でもない。
もはや値ごろ観など通用しない相場である。
筆者は、北海道小豆の先限が
一万五千二百円あたりまで崩れないことには
底がはいらないと思う。
売り余地充分の相場でもある。
もうは、まだなりという。
買い方の巻き返し。
それもあるだろうが、
竹槍戦法は、まってましたとばかり売り狙われる。
売り方は、叩くことはない。
崩れ落ちる相場に乗っておけばよいだけである。
なんら策を弄しないで王者の道を行くが如しだ。
線型は、ここにきてゾッとするような暴落型になっている。
線で申せば一万三千円割れがある姿だ。
案外そうなるのかもしれないと思った。
これからが恐慌相場である。
音をたてて本格的に崩れよう。
今から売っても大丈夫。
●編集部注
誤解を恐れずに書くと何やら嬉しそうだ。
勝ち敗けの話ではない。
相場が動くと、相場師の血は騒ぎだすのだと思う。
【昭和四七年一月六日小豆六月限大阪二六〇円安/東京一六〇円安】