証券ビュー

森羅万象

昭和の風林史 (昭和四六年十二月二十一日掲載分) (2014.01.17)

すべては春に  年内は閑な場面

本年を顧みれば激しい消耗の戦いだった。

年内相場は閑になり、下値も深くないが上にも行けん。

「草枯るゝしづけさ聞けり河原ゆき 悌二郎」

静かに年は暮れて行くといいたいが、

世相騒然とした年の暮れである。

経済界のほうは予想以上の円切り上げ幅で

暗然としたおももち。

週明けは株式市場のほうには大きく響かなかったが、

商品相場はショック安をまぬがれなかった。

小豆相場は当限納会(22日)接近で期近限月が重い。

結構品物が多いことと、受けても妙味がない。

そして買い方も無理はするまいという空気だった。
当限納会の悪さが、

早い目に相場の上に出ていると見るべきであろう。

これでまた市場は閑になりそうだ。

大納会が来週火曜の28日。残り日数は少ない。
売っている人はこれからの下値を利食いしてくる。

だから、それほど大きな下値はないだろう。

いうなら時間切れである。

買い方も、ここからどうするという方法もない。

まさかぶん投げてくるというようなこともあるまい。

心理的には暗い越年であるが、

資金的には行き詰まっていないし、

それに年が明ければ楽しみがある。

建て玉の規制緩和。大底構成の線型。

証拠金も、気は心で少しばかり下がるわけだし。

まあ、ふり返れば買い方は、初めよくて後悪し。

売り方は前半悪くて後よろし。

買い方の敗因をさぐれば勝負に情をからませたこと。

売り方の勝因はベトコンなみのねばり強さであろうか。

相場としては一万四千五百円(大阪)以下は、

あり得ない値段といえそうだ。

年内は五千円中心の逆張りであろう。

幕切れとしては

17日の農林省発表→18日の買い切れなかった相場。

これが一ツのセンテンスであった。

相場が疲れているという感じである。

それはそうだろう。

八月16日から十月7日まで、およそ七千円高をして、

そのあとストレートに七千円安をしている。

これだけ動けば市場も荒れるし、相場も疲れる。

本年一年の小豆市場を通算して、

損得なしのベタベタで、もともと、という人があれば

成功としなければなるまい。

強気にしろ弱気にしろ、チャブつき組にしろ。

バランスシートは幾らかでもプラスだという人は

大成功である。

思えば激しい消耗の戦いであった。
●編集部注
 基本的に、相場は休めないようになっている。

 機関投資家は言わずもがな、

一般投資家も勝とうが負けようが

心の中は「もっと」と「まだ」に悩まされ「もう」がない。

 そして「休むも相場」の大切さを噛み締める。

【昭和四六年十二月二十日小豆五月限大阪五〇〇円安/東京五七〇円安】