証券ビュー

森羅万象

昭和の風林史 (昭和四六年十二月二十日掲載分) (2014.01.16)

年内逆張りか  下値は深くない

見送り修正。

年内の相場は大底圏内での逆張りと見る。

大きな下値もないし、上値も期待薄。

「銭湯のさら湯ひとりに年の暮れ 柳芽」

66万五千俵という数字に対して

18日の小豆相場は、

もう一ツぼんやりとした受け取り方であった。

筆者はこう思った。

買い方は、またしばらく苦しい戦いをしなければならない―と。

五等検(くず豆)含みの66万五千俵ということは

大納言を差し引いて、商品化率75%とすれば、

(年内27万~30万俵出荷)

産地供給余力は十万ないし十五万俵という数字になる。

すでに産地は端境期同様の状態である。

なのに相場は冴えなかった。

輸入圧迫感が強いのだ。

それと叩き屋の叩きが現在、

いうことをきく環境であることも見逃せぬ。

ここで冷静に相場を見てみよう。

売り方は先三本の売りに関する限り空(カラ)売りである。

しかも安値を叩いている。

買い方は制限枚数一枚まで買って

規制緩和を一日千秋の思いで待つ。

売り方も意地になっているし、

買い方も根性まる出しの格好だ。

大衆は参加していない。せいぜい半クロウトまでである。

しかし取り組みは太りだした。

それは売り方、買い方、一歩も引かない気構えであることを示す。

相場はどうか。目先重たい。

66万五千俵を機に一発火柱を立て、

売り方を心理的にも同様させるところが欲しかった。

と言って、先日の安値一万四千四百九十円(大阪)を

大きく割り込んでいく下値も、この相場にはない。

買い方は、まだしばらく苦しい戦いを続けなければならないが、

66万五千俵という数字は、

将来買い方にも楽しみを持たせるものだけに、

〝66・5〟をもとに新しく絵も書けようし、

戦略も建てられる。

しかも明春から建て玉制限も大幅に緩和される。

筆者は見通しを修正して、

年内の相場を大底圏内での逆張りと見る。

大勢は強気。

●編集部注
振り返ると、これは一種の官製相場であったのかもしれない。

高ければ消費者が困るし、安ければ生産者が困る。

さて、監督官庁、更にその上の人物は、

どちらの味方であったのか。

小豆相場を舞台にした経済小説「赤いダイヤ」は、

主人公が買い方で、敵役が売り方であった。

主人公を救う相場師は

苦境に喘いでいた生産者達を救うべく、

買い参入したのが小豆相場を始めたきっかけであった。 
今も超有名な高級和菓子屋と思しき人物も登場する。

此方は売り方の一味で、

政治家や取引所の要人と結託している。

【昭和四六年十二月十八日小豆五月限大阪一〇円安/東京九〇円高】