昭和の風林史 (昭和四六年十一月十八日掲載分) (2013.12.06)
強弱の均衡点?
値固めの段階に
ここらが居心地がよく、もみ合う地点かも知れない。
下値を固めてくればまた違う展開となる。
交易会が幕を閉じたのを機に小豆相場も、
気が抜けたかのように一服してしまった。
あるいはこの辺りが、
強弱均衡のとれた居心地のよい位置なのかもしれない。
高値から六千五百円幅といえば、三〇%強の下落率である。
「三割高下には向かえ」―を持ち出すまでもなく、
通常の相場であればひと相場どころか、
ふた相場にも匹敵する値幅になる。
買い方のうちでも弱腰のところはとっくに投げている。
東京市場が堅いと誰もが言う。当たり前の話だ。
筋金入りともいうべき強気のお膝元ではないか。
片建て取り組みの実に三分の二以上という買い玉を
一連の筋で占めている。
もっとも多勢に無勢―という言葉もある。
多ければよいというものではない。
壊滅的な打撃を受けた買い方にしても、買い増しも思うようにいかぬし、
それに取引所首脳の目も光っている。そう強引なこともできない。
それと先限の方はもう一つ反発力というか伸びが鈍い。
輸入業者のつなぎ圧迫のほかに、
勢いにまかせての弱気の追撃によるのだろう。
しかし、買い方にすれば年間で輸入小豆の
四万㌧を見込みなおかつ需給は逼迫…という観点に立って、
ネバリ腰を示そうから、案外弱そうに見える先限も
調子に乗っての売り込みは警戒すべき地点なのかも知れない。
まあ、いずれにしろそこまでくれば次の材料、
人気がどう移り変わるかを見守るのが賢明かもしれない。
やはりそうなると最大の焦点は「年内の出回り」であろう。
過去三年間の総出回りに対する年内出荷率の平均は四七%という。
ここでもホクレン、農協筋の収穫予想と
農務省のそれとは甚だ異なるので、
人によってはかなりの食い違いが生まれるようだ。
ひとまず妥当なところ七十万俵前後として、
その四七%ならざっと三十三万俵見通しか―。
この数字を境にして大きく食い違えば再び強弱の対象となるわけだ。
そういうことで、今しばらくは日柄かせぎ、
あまり積極的に仕掛けるよりは、
四囲環境を改めて見直すのが最上策というものだろう。
●編集部注
振り返り見れば、彼方に高くそびえる小豆山脈。
山頂十月七日の陰線は囲碁の天元の如く、
夜空に輝く北極星の如く。
地図もなく、ただあてどなく彷徨し、
辿り着きしは深い谷底。
ここが何処なのかが分からない。
山の中腹なのか、それとも底なのか。
平地でない事だけは、分かる。
茂みの向こうから有象無象の声がするのだ。
上から、そして下のからも…。
まだ歩かねばなるまい。
【昭和四六年十一月十七日小豆四月限大阪三四〇円安/東京三四〇円安】