証券ビュー

森羅万象

昭和の風林史 (昭和四六年十月二十六日掲載分) (2013.11.13)

強弱問答無用 男は黙って買う

カリカリしないでもこの小豆相場は反騰出来る。

八千円ラインのモミは長いほどよろしい

「つぐみ罠畑の巌にも餌をすこし 蛇笏」

高値から小豆相場は四千円幅を下げた。

だからこの相場は買いである。

とりあえず三分の一戻し千三百三十円高地点は

一万八千九百円。

そして半値戻し(二千円高)の

一万九千六百円あたり、充分に考えられる地点となった。

弱気が確かにふえているし、強気筋にしても心の動揺は隠せない。

中共小豆の売り値が予想外に低かったことや、

契約の量が出足からドッと出来たこと。

そして、このあともかなり契約出来そうなことなど、

戻り売り人気を強めている。

だが相場は中共ショックをすでに織り込んでいると見る。

線型としては、かなりキツイ反騰が充分可能な姿になった。

これから先に出現するであろう材料は予測することが出来ない。

―が、線は、大反騰を暗示している。

それが、なにを根拠にそうなるのかは、判らない。

だが、この相場は売ったら、ひどい目に逢うだろう。

高値圏には、かなりの買い玉がぶらさがっている。

追い証もかかった。

証拠金が大きいだけに、少々下げてもねばりは利くが、

それでも追い証が攻めた。

大台四ツ変わりの四千円下げ。

だから千三百円(三分の一)や

二千円(半値)戻しが可能なわけである。

売り方は、さらに叩き落とそうとする。

だが、それは無理だ。目に見えない値ごろの抵抗がある。

相場というもの、ひと晩寝たら、ガラリと地合いが変化するもので、

なあにひと場で五、七百円も反騰すれば相場を見る目も一変する。

八千円ラインでジグザグもむのも一ツの型であり相場である。

ここでもむほどに足場は頑強なものとなる。

筆者はこの小豆相場を本気で強気してみようと思う。

嬶はまだ質流れしていない。

手亡はどうかというと、時間をかけてのジリ貧である。

売りっぱなしで忘れることだ。

気がついたころは七千三百円以下であろう。

今のもみ合いを放れたら

スッーと黒い糸を垂らして音もなく安いはずだ。

●編集部註
 「男は黙って」というフレーズに時代を感じる。

 この記事の前年、あるビール会社が広告に三船敏郎を起用。

このフレーズは、その時のキャッチコピーから来ている。

 女房を質に入れても何とやら。それがどうした文句があるか。

初代桂春団治の香りがうっすらと、この記事から漂う。

【昭和四六年十月25日小豆三月限大阪一万七八六〇円・二七〇円安/東京一万七八〇〇円・二六〇円安】