昭和の風林史 (昭和四六年九月二八日掲載分) (2013.10.17)
暴走また暴騰 小豆も手亡も!!
月末の降霜は非常に確実性が高くなった。
しかも落葉病がきついと聞く小豆も手亡も爆走型。
「鳴く虫をあらはに見つゝ栗拾ふ 秋桜子」
この原稿と、もう一、二本を書きあげたら
帯広に行ってこようと思う。
ちょうど、その時分には霜が降りるだろう。
朝の気温が六度とか九度とかいっても
当地ではピンと来ないが、
冬の下着など持参しなければ、ふるえあがるだろう。
相場のほうは小豆が再び強い力で上伸しだした。
これで霜に見舞われたら被害は必ず大きいし
17・18日の高値を抜く場面も考えられる。
一部には、昨年同様落葉病が発生していると聞く。
どういう商状なのか、それも見てきたい。
ともかく相場は荒い動きであるが、上のものである。
問題は手亡のほうであるが、
九千円割れの手亡なら買っておいて心配はあるまい。
ここにきて手亡は十万俵ほど、収穫減になりそうだと伝えられるし、
月末から来月上旬の降霜で、かなりの被害が出ることは確かである。
市場の一般人気は
あたかも小豆、手亡の作柄が回復したかのように言われているが、
単なるそれは気分であって、
現実は、むしろ悪い方へ向かっているようだ。
当限納会でも、市中の渡るべき品物が、ほとんど渡され、
これが買い方の手の中にはいった。
手亡にしろ、小豆にしろその線型は申し分ない押し目を構成し、
買い安心の姿である。
とは申せ、小豆など新規玉を受け付けないところもあるようで、
取引員の小豆相場に対する警戒心は非常に強い。
市場管理の面では、
一部に〝私情管理委員会〟によるマヤカシの規制など行われたが、
悪事はすぐに露見するもので、天は邪悪に味方しない。
総じていえば、市場管理の面は、
七十点ぐらいの点数は付けられるのではなかろうか。
さて当限納会も無事終わり、注目の十月戦である。
十月限には、まだ近藤紡の大量の売り玉があって
これの踏みが注目されている。
九月納会で、現物のほとんどを買い方に握られた以上は、
売り方としても十月戦はつらいところだ。
しかも、絶対確実に降霜被害が出ると思われる現在、
小豆の押したところは買っておかなければならない。
手亡も投機対象物件として、
再び人気化する傾向にあるため、押し目は買いでよい。
●編集部注
べらぼうな相場は、そのべらぼうさゆえに、簡単には終わらない。
この時の風林火山、頗る口は汚いが、相場を観る目は澄み渡る美しさ。
そうでなければ、隣の日足から「押し目は買い」とはなかなか言えない。
皆が動けぬから値が動くともいえるのだが…。
【昭和四六年九月二七日小豆二月限大阪二万〇〇八〇円・五八〇円高/東京一万九九七〇円・四〇〇円高】