証券ビュー

森羅万象

昭和の風林史 (昭和四六年八月二十三日掲載分) (2013.09.06)

連発S高あり 今からでも買え

今からでもおそくない。

目標一万八千円の小豆だ。

厳然買い方針。連発S高含みの相場となった。

「秋風にふえては減るや法師蝉 虚子」

注目されていた二十日の北海道小豆の作付け面積発表(農林省)は

前年比22%増反の五万三千六百ヘクタール。

ただしこのうち二千ヘクタールは六月の遅霜の被害をうけ、

いんげんなどに植えかえられているから

実質的には一般の予想通りの五万千五百ヘクタールであった。

作況の方は八月一日の時点で

やや不良から不良に落ち込み、

十三日以後の低温で非常に悪くなっていることから、

週末の相場は上放れて寄り付いた。

場面はいよいよ結実期にむかい、

作柄の最終決定コースに入るわけで、

ますますもって不順な天候と長期予報にもあるように

九月上、中旬の早霜、あるいは凍結予想などを

想定すると新穀相場に

一気に六千五百円から七千円指呼の間に

買われるのはもはや時間の問題と見られる。

安値を売り込んだ玉は

おそらく高値更新から七千円にむかって

大々的に踏み上げてくることだろうし、

降霜凍結が現実のものとなれば、

更にストップ高の連続ということもありうる。

事態は予想外に逼迫していることを知らなければなるまい。

安値をベタ一面に売り込まれた内部要因と

冷害凶作という外部要因。

東北六県の内地小豆の作付けが増反していようと

決して作柄も良いわけではあるまいし、

また雑豆の自由化にしても

今すぐ現実の相場に影響するところは少ない。

三晶実業があれだけ売っても

叩ききれなかった相場である。

また22%の大幅増反発表にもかかわらず

逆に夜放れ高をする。

われわれはこの現実を考えなければならない。

大阪先限一万六千三百円を抜けば、

先週月曜日の十六日に叩き込んだ千円棒の

倍返しの二千円高は相場の定跡であり、

踏みと勢いのついた相場は

一万八千円にむかって沸騰してゆくだろう。

いずれにせよ、

あまりにも北海道の天候に恵まれない夏であった。

それが再び穀物市場を

窮地に追い込む結果になろうとも、

そこに市場があり、

弱気と強気の戦いが展開されている以上、

一万八千円でも二万円になろうともやむをえないのである。

これが相場である。今からでもおそくない

厳然買い方針。

●編集部注

身近に「今日の高値は、明日の安値じゃあ、買いやで」という人がいる。

買えない相場は、強い。

【昭和四六年八月二一日小豆一月限大阪二三〇円高/東京一八〇円高】