ポスト・ゲノムに答え出す
JSRと提携しスケールアップ
医学生物学研究所(4557・JQ)は踊り場。一皮、二皮むけるところ。3月12日、JSR(4185)と資本業務提携を発表しスケールアップ。今、来期様変わりになりそうだ。7月29日発表した1Qから及びもつかないが、JSRのメディカル材料が中期計画の戦略事業になっているためだ。3月末第三者割当で調達した45億円は、ライフサイエンス領域の企業買収14億円、ライセンス・シード(技術や特許、ノウハウなどビジネスの種)10億円が目玉。2015年3月の期限つき。JSRが先端医薬品研究用試薬や診断薬の事業化を国内のほか欧米や中国等で繰り広げているのに対し、同社の遺伝子診断薬や病理・細胞診など検査領域、抗体医薬、細胞治療など癌や感染症領域も国内と米中で展開。このため、JSRの後方支援を受けて相乗効果が見込まれ、近い将来連結売上高が大きく増加する可能性がある。JSRの議決権が33.7%だけに、今、来期一定の結果が出ないと呑み込まれる恐れもある。6月25日の総会によると、提携について30人弱の出席者に異議の声はなく、1時間足らずで終了したという。同社の場合、前期3Q反転し尻上がり。全自動迅速検査薬「ステイシア」シリーズの販売が本格化する一方、MEBGEN KRAS、FREELITE、抗p53抗体など腫瘍マーカー(前期連結23.6%増)、診断薬等の製造受託(同11.7%増)など高い伸び。7月19日子会社が組織科学研究所(東京・青梅市)の事業を譲り受け、非臨床分野の病理組織標本作成や病理組織学的検査・評価に対する技術・開発・販売網など40年のデータが魅力的。ライセンス・シードに相当するもので、前期3億円弱の売り上げが何倍に化けるか楽しみ。外部でしきりと持ち上げる向きがある。さらに、前回述べた癌や感染症など治療用抗体導出候補が同社、旧ACTGen(3月1日簡易吸収合併)で複数あり、大手製薬メーカーに導出待ち。実現すれば、抗体医薬品の創薬メーカーにステップアップ。10年来ポスト・ゲノムに挑戦し、自ら答えを出すところにきた。課題は米国と中国のネットワークづくり。自前で立ち上げた実績のもと、JSRの全面支援が見込まれるだけに心強い。
2014年3月期(連結)は、売上高86億9300万円(25%増)、営業利益2億3200万円(2%減)、経常利益1億9700万円(38%減)、純益1億6200万円(24%減)の見通し。配当は期末4円を据え置く予定。1Q5.5%増収と幸先よく2、3Q利益がついてくれば申し分ない。社運を調べると同社もJSRも踊り場だが、2014、15年ともに大きな変化があるという。総会後、株主に届いた会社概要「バイオとともに歩む108ページ」は難解だが、JSRと提携が軌道に乗り、具体的な結果が出るとわかる。昨年10月216円を安値に年初来5倍強に化けたのが初動。何を隠そう、2014,15年ポスト・ゲノムを実現すると株に一番効くといわれる。